組織はこうして失敗する:組織が陥りがちなアンチパターン8選

前回の予告通り、組織が失敗するパターンを「組織のてこの原理」をベースにまとめてみます。

「組織のてこの原理」って何?という方は下記のエントリを先にご覧ください。 www.security-design.jp

はじめに。今回のエントリはあくまでネタとして、温かいお茶でも片手に読んでいただければ幸いです。アルコールを摂取しながらの閲覧は、あなたが現場の人でも立場が高い方でも暗澹たる気持ちになる恐れがあるためおすすめしません。ご注意下さい。

それではスタート。

現場だけで頑張る

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上位の承認や周りの支援を得られていないパターン。目標が小さければ実現はできるかもしれませんが、何かを変えたり、インパクトを与えるような成果は望みにくいパターンです。現場は「上層部は何もわかってない」と思っていますし、上層部は「現場が何考えてるかわからない」と思っています。

現場のギクシャク

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メンバー間の仲違いが起きて、チームとして実力が発揮できなくなるパターン。組織の問題というよりは、個あるいは個々の間の問題に端を発していることも多いので、こじれると仲裁役の中間管理職層が病んでしまうことも。

はしご外し

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きちんと上位まで承認を得ていたつもりが、急に「私は認めたつもりはない」と後ろから刺してくる人が現れて、力点が左にずれてしまうパターン。途中までうまくいっていてもそのあと支えきれずに沈みます。はしごを外された側は根に持ち続け、はしご外しがはしご外しを呼ぶ、血みどろの争いになるパターン。

トップの思いつき

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トップが急に盛り上がって目標をぶち上げちゃうパターンです。現場側の人がほとんど納得できてなくて、上手く進まないやつです。

イエスマン

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トップのとんでもない思いつきでも、中間管理職層にイエスマンが多いと、支点がそこそこ左になって、微妙に力が加わり、中途半端に成果が出てしまうパターン。長期的に見ると、組織としては変化のチャンスを失い続け、担当レベルの士気も下がり続けるかなり嫌なパターン。

目標が曖昧

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何を持ち上げればよいかわからない、あるいは大きすぎて何からやればいいかわからない状態だと、みな自分に都合のよい目標をばらばらと設定してしまい、どこかで崩れ落ちます。責任を取りたくない人ばかり集まるとこうなりがちで、結果として問題も隠蔽されがちで、ぎりぎりまで惨状が表面化しないパターン。

目標の肥大化

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目標が途中で変更されさらなる要求が行われた場合、順調に成果が上がっていたとしてもてこが重くなり沈み始めます。これに無理に答え続けようとすると色々なものが狂って、中身のないハリボテになったり、成果の粉飾などが起こったりと、最悪は組織ごと沈んでいく可能性があるパターン。

現場の反乱

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担当レベルで「もう無理です、やれません」となるパターン。支点が右に動くので、徐々に沈んでいきます。「現場 vs 上位全て」か「現場 vs 中間管理職」の状態で発生しやすい。前者はただのブラック企業。後者は、上層部にいい顔したいブラック管理職がいると起きやすく、上層部は何も知らされていなくて後から慌てるパターン。

まとめ

アンチパターンは数あれど、結局のところ前回のエントリで紹介した成功パターンと逆の状態が組み合わされているだけです。

  1. 力点が上位に上げられていない
    • 上位の承認が得られなかったり、反故になったりして、組織的な施策ではなくなる
  2. 支点を現場に寄せられていない
    • 関わるメンバーみんなが混乱し、目標や進め方に対し納得できなくなる
  3. 力が小さい
    • 自身や自チームの能力が発揮されず、間接的に関係する人の協力も得られない

ひどい状況になる前にうまくテコを使って、小さな目標でもいいので、個人も組織もしっかりと成功体験を積み上げていきましょう。

以上、昨年に中間管理職になり「最近は技術者ってよりマネージメントの人って感じですよね」と現場メンバーに言われて少し寂しくなりつつも、若い技術者がたくさん活躍できる組織を作れるのであれば清濁併せ呑んでやると気持ちを奮い立たせる、エンジニアリングマネージャーという言葉が気になる30代会社員がお伝えしました。